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「他人を支えるということ」中島坊童氏オンラインキャリアセミナー開催

皆さん、こんにちは。スタッフの本間です。

4/9(土)にハーベスト主催WEB版キャリアセミナー「放課後ハーベストVol.2」を開催致しました。

講師は中島坊童氏。

20~30代の頃は出版業界でライターおよび編集者として活動していましたが、その後様々なボランティア団体やNPOに参加し、支援活動にも取り組みました。自殺防止、不登校やひきこもりの若者たちの支援、防犯パトロール、家庭内の問題、恋愛トラブル、ハラスメントの相談など、30年の間に2,000人以上の相談者のために力を尽くしてきた方です

数年前まで「日本駆け込み寺」仙台支部の責任者として、仙台で活動をしていらしゃいました。その頃にハーベストのキャリアセミナーに市民ボランティア講師としてご参加頂いていました。

その後東京へ戻り、2019年に急性大動脈解離を発症して救急車で運ばれ九死に一生を得ます。

助かった命をいま悩み苦しんでいる誰かのために役立てたい。そのような思いから、対人援助を中心とした様々な支援活動を現在「探偵業」という形で行っています。

講座のテーマは「他人を支えるということ」。まさしく中島さんの人生そのものを表しています。

講座の中では、

〇ご自身の学生時代に一番最初に友達から受けた相談事

〇救えなかった同級生の女の子の話。

〇急性大動脈解離を発症して入院した時のお話

〇実家に空き巣が入り、その犯人の更生支援をしているお話

〇今後自分がやるべき使命

などについてお話をして下さいました。

 

受講者の中には、過去中島さんに相談し救われたという方もいらして、今度は自分が助ける側にまわりたいという想いを持っていて、

素晴らしい循環だなぁと感動しました。

人の相談を受けるという事は、相手のその後の行動を左右する事にもなり得るので責任が重いものだと思う。

中島さんは今までに2,000人以上の方の相談を受けて来て、その人数分責任も全て背負って生きてきた。

そんな中で、自分の人生は中島さんに救われた。

そして自分も今誰かを助ける活動をしている・・・と、伝えられる事は中島さんにとって全てが報われる瞬間なのではないだろうか。

中島さんが相談を受ける時に心がけている事がいくつかあります、とお話してくださいました。

その中の一つに、その問題を解決するのに「お金がいくらかかるのか」「時間がどのくらいかかるのか」「法律で解決できるのか」を具体的に示す。

これは、近しい人が亡くなった時の対処に似ている。

近しい人が亡くなった時というのは気が動転し、気持ちの整理もつかず混乱する。

そんな時、葬儀社の方が今後何をすればいいのかを具体的に示してくれると少し心がシャキッとする。

そして「やらなければならない事」をなんとかこなしていくうちに、少しずつ心の整理がついてその人が亡くなった事を受け入れていく。

人は「どうしたらいいかわからない」状態を一番嫌う。だから具体的に何をするかを示されるとそれだけで安心するのでは、と思う。

その他にも中島さんは、「相手に絶対に恥をかかせない」「正論で追い詰めない」「自分が相談者よりも空腹だったり恋愛に飢えていてはいけない」

などを心がけているとお話してくださった。

それからこれも目から鱗だったのが、「相談者はその時は暗闇にいる状態だから寄り添って、暗闇に慣れてきてその人が自分で動けるようになったら離れる」。

そして、今まで多くの自殺願望のある方を思いとどまらせてきた。

例えて言うと、首をつりたいと思う人から首をつるロープを取り上げてきたようなもの。

だから、その何本もあるロープで心のセーフティネットを作り、そこで苦しむ方を受け止めたい・・・と。

 

そのネットの網目が細かければ細かいほど水も漏らさず受け止められる。

だからこれからも首をつりたい人からロープを取り上げていく・・・と語る中島さん。

当日の様子は、短縮版ではありますが下記よりご覧頂けます。

是非お時間ある時にご覧ください。

https://youtu.be/rmnRekNomSQ

そんな中島さんにいくつか質問をぶつけてみました。

〇これまで色々ヘヴィな相談事もあったと思いますが、それらを聞いているうちに自分が心を病んでしまう事はないのか。病まないように心がけている事はありますか。

「確かに深刻な内容の相談は少なくありません。例えば暴力やハラスメントなど、他人に支配され続けている人間関係から逃れられない、という相談をよく受けます。

または家族に内緒で多額の借金を作ってしまったけれど、返済することができず、家族に打ち明けることもできないなど。

そういう相談は「もう死ぬしかない」という言葉とセットで聞かされることが多いです。

現実的には「死ぬ」以外の選択肢もあるのですが、心に余裕がなくなり、視野狭窄状態になっているわけですね。

そのような事情から「死ぬしかない」というヘヴィな言葉をよく聞かされるのですが、その影響を受けてしまうことはありません。

実は忘れっぽい性格です。

対面、電話、メール、最近はZOOMなどで相談者さんの話を聞いているときは全身全霊で対応しているのですが、それが終了した瞬間、全ていったん忘れてしまう。

で、その相談者さんと再び話すことになったとき、前回話した内容を一気に思い出す。そういう切り替えができる思考回路なので、病まないんです。

強いて言えば、相談事や悩みごとの内容は、その人が人間的に成長するための課題だと考えています。

だから私がそれを聞いて病んでしまったら、それは他人の大切な課題を横取りしてしまうことだ、と思っています。

あるいは、もし自分がとても深刻な相談事を抱えていて、相談する側の人間だったら?

相談した相手が私の言葉によって病んでしまったら嫌ですし、引き続きその人に相談しようという気持ちにはなれません。

これらの考え方が結果的に「自分が病まないように心がけている事」になっているのかもしれません。」

 

〇中島さん自身が誰かに支えられて助かったという経験はありますか

「その誰かとは、両親です。私は小学生時代・中学生時代のある時期、不登校でした。

現在私は53歳ですが、当時は不登校ではなく「登校拒否」と呼ばれていました。

あの頃の両親がすごかったのは、不登校状態の私を車に乗せて、様々な専門家のところや専門機関に連れて行ったことです。

「学校に行かない息子をなんとかしてください」と訴えながら、児童相談所、不登校支援団体、メンタルクリニック、心理療法家、そして宗教団体や占い師のところにも行きました(笑)。

当時の私は好奇心だけは強かったので、自分が不登校であることを棚に上げて、相談援助や支援活動の現場で活動する人々を目の当たりにし、これが大人の世界なのか、実社会なのか、と興奮しました。

そこで出会った先生方から、悩み事を解決するための様々なスキルを学びました。

中学生には難しかったのですが、森田療法や内観療法といった日本的な心理療法、機能不全家族の考え方などを教えてもらいました。

それらが不登校の解決に有効である、と言われていたんですよね。

で、そのときの体験を通じて、自分も将来誰かを助ける活動をしたいな、と思ったんです。実社会を見ることによって将来のビジョンが見えた。

両親は、不登校の息子を自分たちで無理してなんとかしようとはせず、車で連れまわすことによって、結果的に実社会をたくさん見せてくれました。不登校だった私は、様々な先生方に助けられたと思っていましたが、そのきっかけを作ってくれたのは、今思えば両親です。

実は両親に支えられ、助けて貰っていた。そのことに気づいたのは最近のことです。

 

〇大病をされてから、昔自分がやりたかった事をやろうと思い探偵になったとおっしゃっていましたが、「探偵」にこだわった理由をもう少し詳しく教えてください。

2019年に急性大動脈解離という病気で倒れました。

大動脈が裂ける病気で、突然死の原因になることも多いのですが、裂けた部分を人工血管に置き換える緊急手術を受けて、生き延びることができました。

当時51歳。

それまでNPO法人やボランティア団体のスタッフとして、あるいは個人的に、社会的弱者や困窮者の支援をずっと続けてきて、将来的にはその活動を拡大したいと思っていました。

例えば同じ気持ちの仲間を集めてNPO法人を立ち上げるとか。

しかし私の病気は再発や再手術の可能性がゼロではありません。

活動を広げるために仲間を集めても、また自分が突然倒れてしまったら関係者に迷惑がかかる。

だから今後は個人的な活動をマイペースでやっていこう、と考えました。

そこで思いついたのが「探偵」です。

不登校だった中学時代、学校ではなく図書館に通い、探偵モノのミステリーを読み漁っていたものです。

「私立探偵」という肩書きががっこいいなぁ、と思っていた。

将来、探偵になって人助けをしたいな、と夢想することもありました。

そのことを思い出した私は、これまでやってきた社会的弱者や困窮者の支援活動を「探偵」という肩書でやっていこうじゃないか、と考えたわけです。

東京都公安委員会に探偵業の届出を出して、個人事務所として活動しています。

NPO法人を将来設立したいと考えていた人物が、急病によってその夢を諦めた。その代わり、同様の活動を「探偵」という肩書きで、個人的に、そしてマイペースでやっている。それが現在の私です。

 

〇中島さんの志を聞かせて下さい

この世の中から「もう死ぬしかない」という言葉や気持ちを減らすことです。

世の中には「死ぬ」以外の選択肢もありますが、極端に感情的になり、正常な判断力を失っているときには、そのことを忘れてしまうものです。

人生に関わる選択肢の多い社会ほど自由な社会である、と考えていますが、私は誰かの人生の選択肢をひとつ増やす存在になりたい。

「死ぬ」を選ぶ前に「中島に相談する」を先に選んで試してみようか、と思ってもらえる存在になりたいです。

 

中島坊童事務所ホームページ

https://boudouoffice.amebaownd.com/

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